潮騒、某、暮れ泥み

小説のような旅行記を。鉄道旅を主として全国を旅しています。

本州・四国・九州横断旅行 1

 本州・四国・九州を自転車と船で横断する旅行をしてきた。今回から数回はそのことについて書いていこうと思う。

 

 18きっぷ1日目。大阪を朝早くに出発した。まず向かった場所は津山。美作エリアに行くのは初めてのことだった。姫路から姫新線に乗る。
 

 

 お昼頃、津山に着いた。津山は岡山の県北、美作の中心。岡山の県北と聞くと何かを思い出すような気がするが、言及しないでおこう。

 津山城に向かう。徒歩20分くらいだっただろうか。最初、入口がわからず迷ってしまったが、無事入館することができた。

 

 

 天守はない。備中櫓などが再建されている。石垣が見事なお城のようで、見応えのあるものだった。そして、お城の上からの眺望は大抵素晴らしいものである。

 

 

 津山城から折り返し、再び津山駅へ。そこから津山まなびの鉄道館に向かった。鉄道館と聞くと京都や大宮のようなものを連想したが、想像より小さい施設で、案内もわかりにくいので、もう少し何とかならないものかと思ったが……ともかく到着。

 

 

 目玉は何と言っても旧津山扇形機関車庫。京都にある梅小路機関車庫に次ぐ二番目の規模を誇るそうである。各種車両が展示されている。私は車両に明るくないのだが、価値がわかる人には垂涎ものだろうと思った。

 

 

 その他、鉄道に関する展示がいくつかあった。時間がなく、あまり詳細に見られなかったことが悔やまれるが、十分楽しむことができた。

 

 さて、津山を後にして、次に向かったのは倉敷。倉敷は訪れたことがあるので、リピーターである。倉敷美観地区は何度行ってもその美しさに惚れ惚れとするし、昼と夜でまた違った顔を見せるのもいい。私が到着した頃には日もとっぷり暮れた夜であった。

 

 

 美観地区のお店はもう閉まっていたので、この景観だけを見て倉敷は後にした。倉敷を出た後は次の日に備えてネットカフェに向かう。貧乏旅行をしている私は、宿泊するときは決まってネカフェであった(よほど辺鄙な地域を除く)。今回は福山のネカフェに宿泊した。

 

 2日目。この日は18きっぷを使わなかった。早朝から向かったのは尾道。福山とは目と鼻の先である。そのための事実上の前日入りであった。ここから今回の旅のメインとも言えるしまなみ海道を渡る。

 まずは尾道でレンタサイクルに向かい自転車を借りる。後述するが、乗り捨てをしたので3100円取られた。結構高い。だが、しまなみ海道のためなら仕方がない。

 ここでしまなみ海道について軽く触れる。言わずと知れたサイクリストの聖地であって、尾道から尾道市内の向島因島生口島今治市内の大三島伯方島、大島を経由して今治に至る自転車道である。各地に魅力があり非常に個性豊かな島嶼群であるが、後述するように今回は生口島までしか行かない。情けないことに、筆者に体力がないためである。

 話を戻そう。自転車を借りると、まずは向島までの船に乗るように案内されたので、素直に従った。向島に着くと、いよいよサイクリングの始まりである。

 

 

 私は因島の水軍城に行ってみたかったので、そこを目指した。向島をすいすいと駆け抜けて、因島大橋へ。しかし、橋は難所であった。架かっている橋に高さがあるので、そこに至るまで随分と長く上り道を強いられるのだ。体力のない私は、上り坂をすいすい漕いでいくサイクリストを横目に手押しで上っていった。橋の上に辿り着いた頃にはかなり体力を消耗していた。

 

 

 因島に着いてから水軍城までの道もわかりづらかった。しまなみ海道のルートから外れるためである。それでも何とか漕いで辿り着いた。この頃には既に相当疲れていた。やはり日頃の運動不足が祟ったか。

 

 

 

 

 因島水軍城は村上海賊が居を構えた城郭である。小さいながらも展示が充実しており、たいへん勉強になった。

 水軍城を後にした後、一目生口島を見たいと思い、また長い上り坂を上って橋を渡った。しかし、ここで私は力尽きてしまった。生口島の中心である瀬戸田まで行く体力はなかったのである。諦めて折り返し、今治行の船が出る因島の土生港へ向かった。

 土生港への道はわかりやすく助かった。土生港で自転車を返却したが、怪訝な反応をされてしまった。昼間にこんな場所で自転車を返す人はどうやら珍しいらしい。ともかく、自転車を返却して今治行の船を待った。

 

 

 船に乗り込み、一時間半ほどで今治港へ到着。今治城を目指した。港からお城までは近くて助かった。

 

 

 今治城は立派な城郭である。展示も豊富すぎて、色々見て回っていると予想外に時間がかかってしまった。歴史にまつわることだけでなく、生物の展示まであることには驚いた。立派な天守を拝むことができて満足であった。

 

 ところで、今治にはネカフェがない。というわけで、この日は松山に向かうことにした。流石に松山ほどの規模の都市ならネカフェの一つや二つあって当然である。

 

 

 松山観光は以前にしたことがあるので、今回は観光らしい観光をしなかった。ネカフェでの滞在時間を短くするため、適当にカフェで勉強したりしつつ時間を潰した。そして松山で眠りについた。明日以降向かう九州を夢見て……。

 

 続く。